ZEH(ゼッチ)とは? | エネルギーの自給自足 #2
こんにちは、設計の吹上です。(フキアゲと読みます)
前回は長々とZEHの背景についてお話してきましたが、やっと本題に入ります。
ZEH、ZEHと書きすぎて、早くも頭の中がZEHというワードであふれそうです。
| ZEHって何だろう?
ZEHとは外皮(※1)の高断熱化、及び効率的な省エネルギーの設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量が『正味ゼロまたはマイナス』の住宅のことです。
(※1)外皮とは屋根または天井、外壁、床、開口部など、室内と屋外で熱の出入りとなる部位のこと。
少し堅い表現になってしまいました。もう少し簡単に説明をすると…
ZEHの考え方:まずは大前提として家のエネルギー効率を良くすることが重要です。高断熱高気密や省エネ設備を使うことで、エネルギー消費量をできる限り少なくしましょう。
ZEHの目的:家で生活する中で、少なからずエネルギーを消費してしまいます。そのエネルギーをすべて太陽光で発電したエネルギーでまかなうことが目的です。ネットゼロ(正味ゼロ)とはそのことです。
基本的なZEHの考え方と目的は上記の通りですが、ZEHで国から補助金をもらうためには「平成25年省エネ基準」という基準よりも、さらに上の厳しい基準に適合する必要があります。
① 外皮平均熱貫流率(※2)UA値0.60W/㎡K以下
② 夏の平均日射熱取得率(※3)ηA値2.8以下
③ 一次消費エネルギーを「平成25年省エネ基準」より20%削減
具体的にはこの3つの基準に適合しなければなりません。
(※2)外皮平均熱貫流率UA(ユーエー)値とは「熱の出入りのしやすさを表す数値」です。数値が小さいほど断熱性能が高くなります。
(※3)平均日射熱取得率ηA(イータエー)値とは「太陽光の室内への取り込みやすさを表す数値」です。数値が小さいほど日射を遮ることができます。
「太陽光をたくさん乗せればいいってわけじゃないんだ…」
と思われた方もいるかもしれません。実はそうなんです。
敷地の限られた密集地では屋根面積も小さく、乗せられる太陽光にも限界があります。また、都合よく南向から光がうまくとれるとも限りません。そもそも家づくりにおいて「断熱がしっかりしていない」「夏に日差しがいっぱい中にはいってしまう」そのような家は居心地が良い家と言えるでしょうか。
まずはエネルギーの消費量を減らし、その上で使用したエネルギーを太陽光でまかないましょう!
そのためのポイントが2つあります。
| ZEHで大切な2つのポイント
1)パッシブデザインという設計手法
2)設備の性能と高気密高断熱
ひとつ注意してもらいたいのは、太陽光発電でまかなうエネルギーには家電は含まれていないということです。後ほど説明することになりますが、消費エネルギーに含まれるのは空調、換気、照明、給湯です。これらの消費エネルギーをできる限り減らし、太陽光発電でまかないます。
それでは、消費エネルギーを減らすための2つのポイントを見ていきましょう。
1)パッシブデザインという設計手法
パッシブデザインとは太陽や風を利用することで、エアコンや照明を使わずに快適な生活をしようとする設計手法のことです。
夏 涼しい仕組み
冬 暖かい仕組み
日本には生活に変化をもたらす四季があります。同時に夏は湿気が多く、蒸し暑い。冬は乾燥して寒いということも当然起こります。 そんな自然の中で、『夏は涼しく冬は暖かい』暮らしを送れるように、庇を出したり風の通りを考えたりします。
「家の中を通る心地よい風」「暖かい日差し」これらは省エネに関することだけではなく、快適な家づくりには欠かせない考え方です。
2)設備の性能と高気密高断熱
設備の性能
はじめにもお話しましたが、家で使うエネルギーの消費量が多くなればなるほど、太陽光発電でまかなわなければならないエネルギーが多くなってしまいます。
エネルギー消費量を少なくするためには「設備の性能」がポイントです。しかしこれに関しては、照明、給湯、換気など、設備の能力や仕様がそのまま消費エネルギーに直結するため、省エネ設備を使用するしかありません。
つまり、照明をLEDに変えたり、熱交換型の換気設備を利用したりすることなどが必要になります。
高気密高断熱
いい設備を使っても、作られるエネルギー(熱)が外に出てしまうと、その分、設備はたくさん働かなければならなくなります。特に住宅では暖冷房による消費エネルギーが多いため、必要になるのが外皮性能(※4)です。
サッシと断熱の性能を上げることで、無駄に外に出て行くエネルギー(熱)を少なくすることができます。
具体的には外皮平均熱貫流率UA値0.60W/㎡K以下、夏の平均日射熱取得率ηA値2.8以下に抑える必要があります。この値の説明は次回のブログにてお話しますが、上限値が決められているので、この数値以下にする必要があります。
(※4)ZEHでは外皮の性能も重要になってくるのですが、この場合の外皮性能とは外壁や外気に触れる床の断熱性能と、窓の断熱性能・日射熱取得率のことになります。
| 最後に
ここまでZEHについて簡単に説明してきました。ZEHはパッシブデザイン、省エネ、創エネが密接に関係していることがわかっていただけたでしょうか。
次回のブログではモデルプランを用いて、UA値(外皮平均熱貫流率)とηA値(平均日射熱取得率)についてお話します。
次の記事はこちら
#3:ZEH(ゼッチ)とは? | UA値(外皮平均熱貫流率)とηA値(平均日射熱取得率)を計算してみよう
「ZEH(ゼッチ)」関連記事
#1:ZEH(ゼッチ)とは? | ZEHの背景と日本の取り組み
#4:ZEH(ゼッチ)とは? | ZEHで補助金をもらう方法「ZEHビルダー」とは?
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