大津市A様邸「鯉雨の家(りうのいえ)」コンセプト
鯉雨の家
設計:大輪建設設計部
コンセプト
この家は歴史のある保全地域でもある三井寺の地に建てるに当たり、初めに施主から要望されたのは、観音堂が見える様にして欲しいとのことでした。又京風の坪庭があり、それを生かして残したいと思いました。施主様もこの地に古くから代々親から子共へと伝える「家の歴史」があります。親が子供へ託すものに「鯉のぼり」の祭りが有り、家を建てる意識や思いは同じではないかと考えます。「鯉が龍になり天に登る」様々な意味と古典の雨月物語にある三井寺の偉いお坊さんが鯉の夢を見たお話も有り、観音堂が見える「鯉雨の家」としました。
設計主体は親御様と隣接していますので外構周りはアプローチ庭(坪庭)と中庭を両方が使える様な配置を意識しました。玄関から天井を少し高くして梁を見せて、広いLDKに導入して奥行と開放感のある中庭と隣地の庭も視覚的に取り込めるLDKとしました。
施主の二つ目の要望は個人的な空間やコーナー(趣味や仕事ができる)を設けることでした。設計上の難しさはそれぞれの部屋の要望・プライバシーに併せた機能を取り入れられる様にする事と隣接している建物は商業地ですから極端に接近していたり、空間が空いていたりとプライバシーと採光を部屋から意識せずに落ち着ける配置と空間的「抜け」と窓位置を探ることでした。
それぞれの施主様の「住宅」にも歴史がある様に家族や仕事を繋げる事はとても大切な事であり、時々の世相を反映しながら人と人の「縁」と「夢」を育み生きることは工務店も設計者も同じだと感じます。施主様と「縁」がありそれを繋げる事が「鯉雨の夢」と思います。
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